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お国柄?

梅雨が明けちゃったみたいな暑い日が続いています。

今年は呉秀三っていう人の『わが邦十何万の精神病者は実にこの病を受けたるの不幸の他に、この邦に生まれたるの不幸を重ぬるものというべし』という言葉からちょうど100年になります。呉秀三は日本の精神医学の草分け的な人で、当時の精神疾患の患者さんの生活状況をつぶさに調査して『精神病者私宅監置ノ實況及ビ其統計的觀察』という報告書にまとめた人です。で、この報告書のなかに上記の言葉があるのですが、要するに自分が調査で接した精神病患者たちは疾患という不幸の上に“この国に生まれた”という不幸が重なっている、と言っているのです。その背景には『座敷牢』と呼ばれる、精神疾患や知的障害のある人を家族が狭い個室や檻に閉じ込めている無数の事例がありました。

彼の言葉から100年たって、『この国』はどのように変わったのでしょうか。このところ障害のある家族を監禁していたという事例が立て続けにニュースになりました。いずれの事件でも、家族の孤立がその背景として語られています。『世間』という言葉(最近では同調圧力という表現が流行ってるみたいです)に滲み出る線引き志向と、戦っていかないとな。

お国柄と言えば。

送迎車のなかで、ラジオを流しています。もちろん安全運行に支障がないボリュームで、です。
行き帰りっていうのはメンバーのみんなにとって街の風にあたる時間だと思ってて、なので流行りの曲とか世の中的に注目されてるニュースとかに接するのは大事だろうと。地元ネタが多いFMヨコハマが定番です。

で、メンバーのみんなが降りて、独りの帰路。EAGLE810っていうAM放送に切り替えたりしています。首都圏にいるアメリカ人、主に在日米軍とその関係者向けのチャンネル。っていっても内容は別に軍とか戦争とは関係ない、ごくこく普通のラジオ放送で、これが結構面白くて、“飲酒運転はもちろんダメだけど、日本ではドライバーが飲んでるってわかってて助手席にいたやつも車で帰るってわかってて酒出した店員も同罪なんだよ”とか、“日本では地震を『震度』っていうスケールで測るから、おんなじ地震でも場所によって表記が違うんだ”とか、ああ、それって外から見ると意外なのか、と改めて気づかされたりします。

で、こないだ、ちょっとビックリしたことにそのラジオでチャイルディッシュ・ガンビーノの『this is america』っていう曲が流れたのです。この曲はアメリカにおける人種差別とか宗教差別とか銃規制の問題とかについての強烈なメッセージだと言われていて、要するに“今のアメリカおかしいだろ”っていう曲。それが本国を離れて外国(=日本)に駐留している軍人・軍属向けの放送で普通に流れて(その前の曲はワン・ダイレクション、その後の曲はテイラー・スウィフト)DJが“なにかと話題の曲だけど、ガンビーノが現代で最も注目すべきラッパーでありクリエイターであるのは間違いないね”とか言っちゃうっていう。外国に駐留している自衛隊員向けのラジオ放送があったとして、そのラジオでRCサクセションの『summertime blues』が流れてDJが“いろいろ言われる曲だけどキヨシローの声やっぱ刺さるよねー”なんてしゃべるっていうのはちょっと想像できません。

アメリカってなんとなく独善的で支配的で(しかもややもするとそのことに無自覚で)なんとなくちょっとアレだなあと思うことも多いのですが、こういうお国柄っていうのはやっぱり見上げる部分があるな。


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